Blood Flow Restriction Training (BFRT)
筋力、筋肥大、パワー、パフォーマンスの効果における2024年時点でのエビデンス

1. BFRトレーニングと高負荷レジスタンストレーニングの比較 (2024)

Potential Moderators of the Effects of Blood Flow Restriction Training on Muscle Strength and Hypertrophy

目的: BFR-RT（低負荷）とHL-RT（高負荷）における筋力と筋肥大の効果を比較。

• トレーニング経験ありの場合: BFR-RTにてより大きな筋力と筋肥大の向上が報告された（有益な補完的トレーニングとなり得る）。
• トレーニング経験なしの場合: HL-RTにてより大きな筋力向上と同程度の筋肥大が得られる。

結論: 健康な個人やアスリートは両者を組み合わせることで適応を最大化できる。また、リハビリ患者など高負荷を扱えない者にとってBFRは有効な代替手段である。

2. 下肢の爆発的パワーへの影響 (2023)

Effects of Resistance Training with Blood Flow Restriction on Explosive Power of Lower Limbs

目的: 従来のトレーニング(TRT)とBFRTの下肢爆発的パワー（ジャンプ、スプリント等）への効果比較。

• BFRTはTRTよりも爆発的パフォーマンス向上効果が高い。
• メカニズム: 酸素供給不足による速筋線維の早期動員、神経筋適応、クレアチンリン酸利用機能の向上。
• 特異性と条件: 広いカフ（10cm以上）や、トレーニング中も血流制限を継続する方法が高い効果を示す。

3. 活動後増強 (PAP) と下肢筋活性化 (2023)

The effects of blood flow restriction training on PAP and lower limb muscle activation

結果: BFRトレーニングはPAP（高強度運動後に一時的にパワーが向上する現象）を誘発できる。

• 自重トレーニング＋BFR（動脈閉塞圧40-60%）は、特にCMJ（カウンタームーブメントジャンプ）の向上に効果的。
• 効果的なウォーミングアップ法として活用可能。

4. アスリートのスポーツパフォーマンスへの影響 (2023)

Effects of blood flow restriction training on sports performance in athletes

• 垂直跳びの高さ、最大酸素摂取量(VO2max)、特定のスポーツパフォーマンスを向上させることが示された。
• スプリントタイムに関しては相反する結果が見られ、さらなる研究が必要。

5. 中高年以降の成人における下肢筋力と筋量 (2022)

Effects of Blood Flow Restriction Combined with Low-Intensity Resistance Training... in Post-Middle-Aged Adults

• 筋力: 有意に改善する。週3回の頻度が週2回よりも効果的。
• 筋量: 統計的な差は見られなかった（他の介入と同程度）。
• 考察: 代謝産物の増加による細胞膨張（再灌流時のシグナル応答）や、代謝ストレスによる速筋線維の動員が筋力増強の要因と考えられる。

6. 訓練されたアスリートの有酸素能力 (2022)

Blood flow restriction during training for improving the aerobic capacity... of trained athletes

• BFR群と非BFR群の間で、有酸素能力やパフォーマンスに有意差は認められなかった。
• 理由: 「訓練されたアスリート」の定義が曖昧で、ベースラインのフィットネスレベルにばらつきがあった可能性が指摘されている。

7. 非活動的な高齢者における筋力と筋量 (2021)

Resistance Training with Blood Flow Restriction... in Non-Active Older Adults

• 低強度BFR（LI-BFR）は、従来の高強度トレーニングと同程度の筋力および筋量の増加を誘導する可能性がある。
• 高齢者にとってポジティブな有益性が明らかになった。

8. 全身への影響と安全性 (2021)

The Systemic Effects of Blood Flow Restriction Training

• BFRTは心血管系、内分泌系、筋骨格系に対して好ましい、あるいは有害でない効果をもたらす。
• 直接起因する重大な有害事象は認められず、高負荷運動ができない患者集団に対して効果的な介入となる。

9. 筋肥大の最大化と高度なRT技術 (2019)

Maximizing Muscle Hypertrophy: A Systematic Review of Advanced Resistance Training Techniques

• 伝統的な方法と比較して常に優れているわけではないが、トレーニングの単調さを防ぐ代替手段として有効。
• 時間効率が高いため、時間の制約がある場合の補完トレーニングとして有用。